花筐館<秋桜の間>

称号と敬称
以下称号の一例。皇帝/国王は除く。
※区分や日本語表記はおおよそ通例に従っていますが、一部通例と異なるものもあります。あくまで当HP内での表記の便宜上であり、他で通用するものではありません。
当HPにおける日本語表記 英語表記 ドイツ語表記 備考
大公 Grand duke
Archduke
Grand prince
Großherzog
Erzherzog
Großfürst
君主としての大公と、特定の一族の子女が名乗る大公の2パターンがある。前者の意味合いでは、現代においてはルクセンブルクの国家元首の称号として使用されている (Grand duke)。後者は「オーストリア大公」(Archduke=Erzherzog)や「ロシア大公」が用例。
いずれのケースも女性配偶者を「妃」と表記している。
選帝侯 Elector Kurfürst 神聖ローマ皇帝を選ぶ選挙権を持った諸侯の総称。
女性配偶者を「妃」と表記している。
Prince - 公国(principality)の君主としての公と、貴族としての公の2パターンがある。前者の意味合いでは、現代においてはモナコの国家元首の称号として使用されている。後者はプリンス・オブ・ウェールズなど、英仏西などでは多くは王族の称号として見られる。
いずれのケースも女性配偶者を「妃」と表記している。また、子女については「公子」「公女」としている。
公爵 Duke Herzog 領邦の君主としての公爵と、臣下(貴族)としての公爵の2パターンがある。
前者はフランス系のブルゴーニュ、ドイツ系のザクセン=コーブルク=ゴータ、イタリア系のパルマなどが代表格で、この用例において公爵子女はPrince/Princess相当の称号を持つ場合がある。
いずれのケースも女性配偶者は「夫人」と表記しているが、子女についてはPrince/Princess相当の称号を持つ場合「公子」「公女」、そうでなければ「公爵子息」「公爵息女」としている。
なお日本語表記の通例では、DukeとPrinceは区別されていないことが多い。
- Fürst ドイツ系の貴族体系においてHerzog(公爵)よりも下位・Graf(伯爵)よりも上位にある諸侯貴族の称号。
英語表記では「Prince」となるため、通例では上述の「公」同様の称号として扱われるが、Duke=Herzogよりも下位である点を考慮して、当HPでは別途「侯」としている。
領邦の君主であるケースと臣下(貴族)であるケースがある。
前者の意味合いでは、現代においてリヒテンシュタインの国家元首が用例としてある。
いずれのケースも女性配偶者は「夫人」と表記している。また、子女については「侯子」「侯女」としている。
侯爵 Marquess/Marquis - 公爵に次ぐ貴族の称号。ただしドイツ系の貴族体系で侯爵に相当する地位はない (強いて言えばMarquessの語源となった辺境伯であるが、通常これらは区別される地位である)。
伯爵 Earl/Count Graf 侯爵に次ぐ貴族の称号。イギリスでは最も古い貴族称号である。ドイツ系の貴族体系では「辺境伯(Markgraf)」、「宮中伯(Pfalzgraf)」、「方伯(Landgraf)」、「城伯(Burggraf)」などバリエーションがある。中でも辺境伯は侯爵相当の地位・権力を持つとみなされることが多い。
子爵 Viscount Vizegraf 伯爵に次ぐ貴族の称号。副伯とも。
男爵 Baron Baron/Freiherr 子爵に次ぐ貴族の称号。
Prince/Dukeの区別、君主のDukeと臣下のDukeの区別、Fürstの訳語、あたりが本当に難しいです。
それと女王以外の女性の君主・家督相続人(女大公とか女公とか)の配偶者を表す語句もいいものが思いつかない。女王の配偶者を指す「王配」にしても種類があるんですが、とりあえずまとめて王配にしています。悩ましい。

それから称号の記載方式について、基本的には以下のようにしています。
1) 皇帝・国王・大公の称号を持つ君主および選帝侯の場合、「[称号]+[名]」(例:イギリス女王エリザベス2世)
2) ドイツ系以外の公・公爵・その他貴族の場合、「[称号/身位]+[名]+[姓]」(例:アストゥリアス公フアン・デ・アラゴン)
3) ドイツ系の公爵・侯・その他貴族の場合、「[名]+[姓]+[称号/身位]」(例:マックス・エマーヌエル・イン・バイエルン公爵)
本来ならドイツ系は皇帝・国王・大公も3)の方式が正しいのでしょうが、こう、便宜上…。

各国の太子の特殊な呼称。
イギリス … ウェールズ公 (Prince of Wales)
フランス … ドーファン (Dauphin)
スペイン … アストゥリアス公 (Prince of Asturias)
オランダ … オラニエ公 (Prince of Orange)
ベルギー … ブラバント公爵 (Duke of Brabant)
以下敬称の一例 (Hisのところは女性に対する場合は勿論Herとなります)。
君主もしくは当主の敬称 意味 日本語でいうとどの称号保持者に対する敬称か その家族もしくは一族への敬称 意味 使用国家例
His Imperial & Royal Majesty (HI&RM) 陛下 皇帝と国王を兼ねる (Emperor) His Imperial & Royal Highness (HI&RH) 殿下 オーストリア=ハンガリー
His Imperial Majesty (HIM) 陛下 皇帝 (Emperor) His Imperial Highness (HIH) 殿下 日本
His Majesty (HM) 陛下 国王 (King) His Royal Highness (HRH) 殿下 イギリス
His Royal Highness (HRH) 殿下 大公 (Grand Duke) His Royal Highness (HRH) 殿下 ルクセンブルク
His Grand Ducal Highness (HGDH)
His Highness (HH) 殿下 公爵 (Duke) His Highness (HH) 殿下 サクス=コーバーク=ゴータ家
His Ducal Serene Highness (HDSH) 殿下 公爵 (Duke) - - ナッサウ家
His Serene Highness (HSH) 殿下 公 (Prince) His Serene Highness (HSH) 殿下 モナコ
His Illustrious Highness (HIllH) 殿下 貴族階級 - - -
His Grace 閣下 イギリスの公爵 - - -
HI&RMについてですが、ほかにドイツ=プロイセンもこれみたいです。ただしHI&RHは、長子(太子)以外は使用しなかった(できなかった?)ようです。
HGDHは、嗣子以外の大公家子女(と男系子孫)が使う称号ですが、使用例にあげているルクセンブルク大公家は過去に女大公を輩出しており、現在はパルマ公爵(敬称HRH)が父方にあたりますので、嗣子以外も敬称HRHとなっています。
ちなみにほかにHGDHが該当するのは、ヘッセン大公家、バーデン大公家。
HDSHはナッサウ公爵家など、特定の公爵家の一族を指して使うものですが、基本的に出てきません。大体HSHでよさそうです。

あとちょっとやっかいなのがデンマーク王室オランダ王室
通常、王太子以外の王子のところに生まれた子女(国王にとって内孫)はHRHの敬称を授かるのですが、デンマーク・オランダは未成年のうちはHHです。
また、近年では王太子以外の王子女のところに生まれた国王の孫について、自発的にHRHの敬称を使用しないケースや、そもそも敬称を与えないケース、さらには敬称を取り上げるケースも出てきています。
選帝侯(神聖ローマ皇帝を選ぶ選挙権を持った諸侯)も頻繁に王朝系図に登場しますが、統廃合を繰り返したり兼任したりと相当ややこしいです。
ちなみに敬称はHSHですが、王>大公>選帝侯>公、辺境伯なので、王位や大公位を兼ねた選帝侯は「選帝侯 Elector」とはあまり呼ばれません。
したがって敬称も王や大公はそちらに付随するものを使います。
 
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